牧場こぼれ話・2009

2009年1月1日 Best Luck by 飯田正剛  第1回

明けましておめでとうございます。

本年も皆様の幸せと人馬の無事、そして世界の平和を願って、毎日の仕事に励んでまいります。変わらぬご支援、ご鞭撻を賜ります様、よろしくお願い申し上げます。


さて、昨年の暮れ、何気なく開いたファイルの中に、以前取材を受けた雑誌の記事を見つけました。そこに、私自身のことがこんな風に書かれているのです。

「・・・熱血漢で職人肌、・・・曲がったことが嫌い、妥協も許さない、理不尽なことも許さない。特に礼儀をわきまえない人間は大嫌い!!・・・」

なるほど、あたっているかもしれませんね。そしてそんな私だからこそ応援してくれる方もたくさんいらっしゃいます。“全ては馬のために”が私のそして千代田牧場の方針ですから、馬のためだったら妥協はしたくありません。だから、時にはスタッフを叱ることもあります。怒鳴ったりもします。でも、全ては馬のためなのです。小さなことを見過ごしたことで、その馬の将来がなくなってしまったら、オーナーの夢もつぶすことになってしまいます。人間なら18か19歳といった若い馬たちの明るい未来を預かっているのです。・・・叱るってエネルギーが必要で疲れます、できればしたくないです。今、世間では、叱ったり怒鳴ったりを、すぐにパワハラなんて言いますが、それは違います。私たちが預かっているのは命と夢です。ですから真剣なのです。

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取材を受けた記事は、2002年スマイルトゥモローがオークスを勝った直後のものです。その彼女も今はりっぱなお母さん。他の繁殖たちと一緒に、のんびりと毎日を過ごしています。2005年から4年、毎年りっぱな子どもたちを生んでくれています。初仔は藤沢和雄厩舎にいるスマイルオンザラン(父ブライアンズタイム)。この仔が生まれた時、その馬体や雰囲気のすばらしさに、思わず「すごい、やった!」ってガッツポーズをしたのを鮮明に覚えています。みんなで乾杯しましたね。だから新馬を勝ってくれて嬉しかった、さすが、スマイルトゥモローの仔です。スマイルオンザランその後の3頭も含め、4頭はどの仔も落ち着いていて、気性は良いです。お母さんはレースになると燃えてしまうタイプでしたから、どうも気性が、と思われがちなのですが、彼女自身、牧場や厩舎ではおとなしくて愛らしい女の子でした。でも、走ると夢中になるので、牧場での調教は気を使いました。みんなと一緒に走れるよう、自分をコントロールすることを覚えなければならないのですが、かかってしまいオーバーワークになるので、どうしても一頭で調教することが多かったですね。結局、G1はオークスしか勝てませんでした。桜花賞とエリザベス女王杯はともに6着。5着だったらブラックタイプの厚みがさらに、とつい思ってしまうのですが、彼女のすばらしい能力への評価が変わるものではありません。

2歳になる牝馬スマイルトゥゲザー(父ブライアンズタイム)は昨年暮れ、美浦の戸田厩舎に入厩しました。デビューが楽しみです。1歳の男の子も順調に成長しています。そして、今年は出産予定(父ブライアンズタイム)が5月になりますので、種付けはせず一年休ませようかな、とも思っています。

これからもスマイルトゥモローと彼女の子供たちへの応援、よろしくお願いします。

“全ては馬のために”この基本を忘れずに、千代田牧場は今年もオーナー、厩舎関係者そしてファンの皆さまに、すばらしい馬を提供させていただきます。