牧場こぼれ話・2009

2009年4月1日 Best Luck by 飯田正剛  第4回

ドバイワールドカップの観戦に行ってきました。3月24日の深夜に関西国際空港から出発し、29日の夜に帰国というハードなスケジュールでの海外旅行。と思いきや、一見ハード、でも実際は優雅でのんびりの贅沢な旅行でした。

シェイク・モハメド殿下の招待を受け、私にとって初めてのドバイ訪問。飲み物の入ったペットボトルの持ち込みに気を使う必要もなし、入国に際してもフリーパス、という特別扱いです。イミグレーションのチェックもなしとは少々びっくり。これもモハメド殿下の招待だからですね。ホテルは例の海に突き出した有名な7つ星ホテル(と言われている5つ星ホテル)Burj Al Arab(バージュアルアラブ)、その昆虫が立っているような(何と表現していいのか・・・)外観は、皆さんもテレビなどで目にしたことがあると思います。宿泊客と関係者しか入れないゲートつきのホテルで、部屋はこれまた豪華、ペルシャ湾に浮かぶ全室スイートのコンドミニアム。ホテルの手厚いホスピタリティには感動でした。ドバイワールドカップに出走する馬主さんの中にはこの部屋に関係者を招いてパーティをする方もいらっしゃるそうです。

年中無休の私にとって、セールもない、レースはあるけど自分の馬が出走しているわけでもないこの海外旅行は、心からのんびりと出来る楽しい旅ではありましたが・・・・・やはり海外でも牧場からの報告をマメにチェックし、種付けの指示や競馬の出走確認など、やっていることは日本と余り変わりないものでした。

でも、こんな短期間で、殿下所有のクルーザーに乗ってザ・ワールドにあるプライベートビーチに案内され、ボートに乗ったけど海に落とされ、日本では小学校以来海水浴もしたことがないのに、ドバイのしょっぱい海水をたっぷり飲んでみたり、小型の水上飛行機でドバイを空から眺めたり・・・砂漠、高層ビル、青い海、造形的な埋立地が眼下に広がり不思議な感覚を覚えました。ただ、年に数日しか降らないという雨がほぼ毎日降り(誰のせい?)、砂漠でのアラビアンナイトパーティーも中止になった為、砂漠に来たのにラクダに乗ることができなかったのは残念でした。次の機会にはぜひ乗ってみたいですね。翌日時間のある方はジープで砂漠を駆け、ラクダにも乗ることができたそうで大変楽しんで来られたようです。

競馬場ではパドックでモハメド殿下にご挨拶をする機会に恵まれました。ジョン・ファーガソンから個人的に紹介され、直接話すことができたのは大変名誉なことで感激致しました。これも長年、ケンタッキーで生産をし、セールにも参加してきた成果のひとつだと思うと大変嬉しいことです。

さて、レースです。日本馬の結果については既にご存知の通りです。初日の殿下主催のウェルカムパーティーで武豊Jから絶好調だと聞いていただけにウォッカの負けはショックでした。この競馬場、第一コーナーはかなりきついです。ですから、その時点である程度、前に付けていないと後半の追い上げだけでは勝てません。ウォッカは2番手につけ、その後も楽に追走、直線、勝ったかなと思ったのに馬群に沈んでしまいました。彼女が馬群に飲まれるなんて・・・。

レースの合間に行われたショーは、まるでオリンピックの開会式のように豪華でした。内馬場の見事なイルミネーション、花火がバンバンあがって、アラブ馬が走り回って。こんなこと日本では絶対無理、各関係者から苦情が出ますね。でも馬たちは、そんな賑々しいショーの後も、パドックをおとなしく歩いていました。ウォッカも実に落ち着いていました。

「さすが、世界で勝負になる馬たちだね」
と、彼らのプロフェッショナルぶりにひたすら感心。

よし、次にドバイに来るときは、自分の馬を出走させるぞ。のんびりする暇なんていらない、ドバイでも忙しく走り回る、そんな機会が近い将来やってくるように、がんばるぞー!と心に決めて、今日も休まず働きます。

最後に招待して下さった、シェイク・モハメド殿下と、お世話頂いたダーレーのスタッフの方々に心から感謝いたします。