ホーム>こぼれ話 >Best Luck by 飯田正剛 |
2012 #2〜私の2歳牝馬チャンピオン・ピースオブワールド〜
1月6日に2011年度のJRA賞が発表されました。 ピースオブワールドが最優秀2歳牝馬に輝いたのは2002年のことです。10月のデビュー戦から12月の阪神ジュヴェナイルフィリーズまで持ったままの4連勝。満場一致で、誰もがその力を認めた馬でした。その年もう1頭、満票を獲得したのが最優秀3歳牝馬に選ばれたファインモーション。こちらはローズS、秋華賞、エリザベス女王杯と重賞3連勝、デビューから6戦全勝での受賞でした。 ピースオブワールドの母ビバムールは12戦2勝と、競走成績は取り立てて優秀ではありませんでしたが、父はアイルランドの名種牡馬カーリアン。藤沢和雄厩舎所属で1993年のG1マイルチャンピオンシップ優勝を最後に引退した名牝シンコウラブリイ(15戦10勝うち重賞6勝)の父もカーリアンです。カーリアンの肌が欲しかったのと、母系がシンコウラブリイと同系だったことから、1996年のレース引退後、繁殖として譲ってもらうことにしたのです。 その翌年1997年に、名馬タイキシャトルがデビューします。母ウェルシュマフィンはビバムールの全姉。同馬が仏GIジャックルマロワ賞を優勝したときは鳥肌が立ちました。というのも、その前週の仏GIモーリスドゲスト賞をシーキングザパールが勝って、日本調教馬が初めて海外GIを制するという快挙を成し遂げたばかりでしたが、シーキングザパールの祖母バーブスボールドもそのとき当場にいたからです(2011年9月のコラム参照)。 後付けブラックタイプとでも言いましょうか。欲しいと思って手に入れた馬の近親がその後活躍して、さらに喜びが増したという例はこの2頭だけではありません。昨年の米プリークネスS(米三冠第2戦)の勝馬Shacklefordは一昨年購入したレディジョアンの半弟。ブリーダーズカップ・クラシックを勝ったDrosselmeyerは6年前に米1歳セリで購入したスパークルジュエルの甥っ子です。 さて、話をピースオブワールドに戻しましょう。牧場時代は、サンデーサイレンス×カーリアンの配合から当然期待は大きかったのですが、牝馬ながら2歳で500kgを超える大型馬。その上、母の血を引いて両前内向、常に球節がモヤモヤする状態で、正直B評価でした。ところが、6月頃になってやっと球節の状態が落ち着き、徐々に調教のピッチを上げていくと、これが動くんです。7月に坂口正大調教師から入厩させたいとの連絡があり、その後は厩舎でじっくり乗り込まれました。9月、「走りますよ。動いちゃうんです。併せ馬をちぎっちゃうんです」という師からの電話に自然とニヤニヤ顔の私。
その後、骨折が判明して休養。2004年の春に、前年のオークスを勝ったスマイルトゥモローとともに中山牝馬Sを走り、2頭一緒に北海道に戻ってきました。 あれから10年。顔つきも大人の表情になりました。 ビバムールはピースオブワールドの他にも良い仔を産んでくれました。ピースの全妹ピサノバーキンは新馬勝。母となり初仔からトシギャングスター(現役、ファルコンS-GV2着)を出しました。半姉マイルドスマイルも産駒が好走しています。ビバムール自身は2003年に、ブライアンズタイムの仔を受胎していましたが、疝痛による胃破裂でこの世を去りました。まだ10歳、これからもっと活躍して欲しい繁殖でしたので、非常に残念でした。ピースオブワールドには長生きして、良い仔を送り出して欲しいですね。 2月はたくさんの馬が出産予定日を迎えますし、種付けシーズンも始まります。来月もまた、千代田牧場を支えてくれる素晴らしいお母さん馬をご紹介したいと思います。 ☆シンコウラブリイは昨年12月5日に永眠しました。ご冥福をお祈り致します。 |
牧場案内 | 今週のレース | 現役馬近況 | 産駒一覧 | 写真館 | こぼれ話 | 馬名募集 | ホームに戻る | |
Copyright (C) Chiyoda Farm Rtd. All Right Reserved. 千代田牧場 |